ワニガメ飼育法

ワニガメ、カミツキ、スナッパー飼育法

動物の飼育はまず生息地の環境を参考にします。
飼育下ではそれに近い形でメンテナンスをしやすいようにシンプルにまとめます。
毎日観察して動物の顔色を見ていれば、飼主の世話のなにが正しくてなにが悪いかは自ずとわかります。

下記飼育法をご参考に元気なカメに育てて下さい。
毎日一生懸命世話をしていればカメたちはその強力なエネルギーで、飼主にも幸せを与えてくれると思います。

エサに関して

 ベビーから大型成体までワニガメは週1回給餌が基本。
 ベビーは特にエサのやりすぎに注意。
 エサのやりすぎはカミツキガメは吐き戻し、ワニガメは調子を崩す。
 特に配合飼料は水を吸うと3倍くらいに膨らむため注意。

 
 ベビーにはアジなどの魚のミンチ、メダカ、赤虫(カミツキ用)がおすすめ。
 量の目安はメダカなら2匹を週1回。
 ベビーの死亡原因はエサのあげ過ぎが多いので注意。
 野生のワニガメベビーはたまにしかエサを取れないから。

 中型以上のエサは腹八分に、魚、ザリガニ、ヒヨコ、マウス、貝などを与える。
 スーパーのアジなども使用可(内臓は抜かない)サンマ、イワシは脂肪が多すぎる。
 釣った魚は腹をさいて釣り針を飲んでないかチェックする。
 蛇やトカゲと違ってマウスのみでは太ってしまう。状態が落ちたものにはマウスは効く
 肉類のみでは太るし甲羅が弱る。

 なんと言ってもカメは甲羅があるのでカルシウムが多く必要。
 安価なためかコイなどの配合飼料の使用を聞くが、魚用のフードは高たんぱくでカルシウムが足りないため、単食では甲羅

 や爪に異常をきたす。
 ワニガメは自然界ではたまに植物も食べるが、飼育下ではおいしいもの優先のためまず食べない。

飼育の水環境に関して

 水換えは汚れたら適宜行う。
 きれいな水で飼育すれば病気なし。水が汚れると水を飲まず、糞もしない。
 カメを大きくしたい人には水換えはエサの量と同じくらい重要。
 ただしあまり神経質にならないように。毎日換えるのはやりすぎ。
 水深は甲羅の厚さの2-3倍程度。あまり深いとカメが疲れる。
 
 水質はその土地の水質にもよるが基本的に水道水で大丈夫。

 ワニガメのベビーは弱酸性を好むのでブラックウオーターもお勧め。
 幼体や白変個体などは塩素抜きした方が調子が良い時もある。
 塩素除去剤の使用は悪影響があるため浄水器を使用する。
 
 ろ過器はカメが良く見えるためにつけても良いが、大型個体には外部ろ過器の大型で強力なものが良い。
 ただし、ろ過器は気休めで水質維持は水換えが基本。
 容器の水抜きドレンなどはぶつけて折ることが多く、大型電動排水ポンプがお勧め。
 ワニガメは強い水流を嫌うため水流は不要。

 水温は25-28度くらいが適温。
 甲長10cm以下は体力がないので保温が必要。
 ベビーは(甲長7cmくらいまで)28度くらいの高めの温度が良い。
 水中温度計はよく赤いところを食いちぎられるので使用不可。
 
 小さな容器はパネルヒーターで保温する。
 水中ヒーターは故障で水温が上がる死亡事故があり要注意。
 水中ヒーターは中型以上のワニガメは噛み砕いて感電死することが多い。

 冬眠は水中のまま行い、10度以上を保つ。
 ワニガメでも氷が張るような厳冬期には冬眠中に死亡することがある。
 中米、南米カミツキの成体も15度くらいの冬なら冬眠可能。
 冬眠中も水が汚れたら月一回くらいは水換えする。

1.6mx1.4m容器

容器に関して

 水槽はゆったりとターンできる大きさが基本。
 カメ同士噛み合うので原則1頭飼い。
 ワニガメの幼体はエサを食べやすいように最初は20cmくらいの小さなケースで始めると良い。
 大きな水槽に入れるとエサがどこにあるかわからず捕食できない。

 水槽の上下の黒帯はない方がカメがよく見える。カメは下にいるので帯で爪などが見えないので。
 アクリル水槽は傷が付きやすいと心配する方もいるが、カメの爪では目立つほどの傷は付かない。
 水槽内は余計な装飾物や砂などは入れないベアタンクが清潔に保ちやすい。
 特に白変やゴールドのカメは砂や土からの汚れが甲羅に付着する。
 流木などはベビーが潜り込んで、挟まって窒息することがある。
 セパレーターは穴に爪を突っ込んで折ることがある。

 カメは空間認識能力が高いので大きくしたい人は十分な広さの容器を用意するべき。一辺が全長の1.5倍以上。
 逆に小さめの容器で飼育し、エサをある程度コントロールするとカメのサイズが調整できる。
 これがカメがペットに適している点でもある。甲長は容器の奥行きくらいにしか伸びないので。

 2mx1m水槽や、1.8mx1.6m FRP容器、更には6m x 6mコンクリート大型池、
 または田んぼを囲って池にして飼育されている方もいる。
 更には温室を建てたり、屋内駐車場を使用したり、ビルの地下室がすべてカメの飼育室になっている方もいて豪快。

 日光浴はカミツキガメはたまにすると良い(夏の暑さとカラスに注意)
 カミツキガメは屋外で飼うとよく陸に上がる。
 ワニガメは調子が悪い時意外は陸場に上がらないので日光浴は必要なし。
 高価なライトは必要ないが、美観上も紫外線ライトをつけておくとカメがきれいに見える。
 日光浴中マンションのベランダから落下する事故もあるので注意。カメには高さの概念がないので。

フロリダスナッパー

病気に関して

 基本的に丈夫なカメで病気は少ない。
 小さい頃に体力が落ちた時に低温で手足顔にカビや細菌感染が見られることがある。
 イソジン(うがい用でなく消毒用)塗布と乾燥(数時間)で治療する。
 小さい頃は保温しないと寒さで肺炎をおこすこともある。
 汚い水や容器の中の突起物は目を傷つけることがあり要注意。
 エサのやりすぎはカミツキガメは吐き戻し、ワニガメは吐けずに体調を崩す。
 食べられる量の八分目くらいが一番調子よく成長する。

 カルシウム不足で甲羅が弱くなっている個体には魚、ザリガニ、マウスなどを与えて根気よく調子を上げる。
 飼育下していると爪が伸びすぎることがある。あまり爪が伸び過ぎると引っかけて爪を折ることがある。
 犬用などの爪切りで血管のあるところまで切らないように切る。
 甲羅や手足はたまに歯ブラシやスポンジブラシなどで掃除して清潔にしてあげる。
 日当たりが良いと甲羅にコケが生える。コケは除去しても良いがあまり神経質にならないように。

スナッパーのサイズと必要最低水槽
(条例に規定に沿って飼育)
飼育容器、水槽の詳細はワニガメ水槽のページをご参照下さい。

ベビー      プラケース
15cmまで    45cm水槽
20cmまで    60cm水槽
30cmまで    900x450x450
40cmまで    900x600x600
50cmまで    1200x900x600 
60cm以上     1500x900x600
        1800x1000x600
        1700x1400x650

ワニガメの成長速度(平均)

1年  甲長6cm
2年  甲長8cm
3年  甲長12cm
6年  甲長20cm
10年 甲長30cm

ここから先は1200×600以上の容器を用意しても年に2cmくらいの成長速度。
また甲長40cm以上は大型容器で飼育しないとなかなか成長しない。

無理に大量給餌で太らせると突然死するので危険。

メキシカンスナッパー

スナッパー豆知識:

-性別は総排泄口(肛門)が甲羅の内側がメス、外側がオス。
 カミツキで甲長35cm、ワニガメで50cmを超えないとはっきり判定できない。
 オスは甲羅のはじから肛門までの間にペニスの通るさやのふくらみが見える。

 オスはペニスを出す時があればはっきりわかる。
-寿命はカミツキガメで約50年、ワニガメで150年。
-同サイズではカミツキガメの方が素早いが、噛む力はワニガメの方が強い。
-スナッパーの爪は前足が5本、後ろ足は4本。

スナッパーは迫力が命。
よく完品ですか?と聞かれることがあるが動物を知るにつれ、なにが完璧なのかが難しく感じる。
人間の体も左右対称ではない。
あまり細かい点にとらわれず、全体のバランスで動物の魅力を判断すると良いものを選べる。
すべてに完全なものは逆におとなしかったりで、ちょっと欠点のある子が強烈な魅力があるので。


カミツキガメの亜種の特徴


北米種:     首の突起は丸い。ヒゲは2本。甲羅が扇型。最大サイズが大きい。
フロリダ種:   首の突起はとがる。ヒゲは2本。顔は扁平。椎甲板(中央の甲板)幅広
         甲羅はたまご型で厚い。甲羅が茶色いものが多い。
中米種:
メキシカン:  首の突起はとがる。ヒゲは4本(うち2本長い)、顔は扁平。
         椎甲板幅広。出目。色は茶黒。甲羅は厚く斜尻。
        前腕にヒレのような突起がある。
ホンジュラス: 首の突起はとがる。ヒゲは4本。上から見ると甲羅の真中が
        絞った感じになる。椎甲板幅広。出目。色は濃い。

南米種:
ニカラグア:  首の突起はとがる。ヒゲは4本。色は黒かったり白っぽかったりと一定でない。

       椎甲板幅広。出目。
エクアドル:  首の突起は丸か尖る。ヒゲは6本。甲羅はオレンジ色。
        椎甲板幅広

エクアドルスナッパー
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