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  アニマルライフ
      アニマル店長のおもしろ小話


私は会社員時代には上司にも恵まれてましたが、後輩にも恵まれてました。
私の下に来る後輩は皆優秀で、普段の実務は完璧にやってくれました。
私の仕事は新規開拓くらいでしたね。

しかし芝君(仮名)は最初は心を閉ざしてました。
日商岩井の子会社からうちの課に派遣されてきたのですが、前の部署で上司たちにひどい目にあったようです。

私が応援しても「私はイザキさんとは違いますから。努力しても無駄なんです」とかたくなです。
「芝くん、そんなこと言うなよ。俺が色々教えてやるからさー」と気を使いました。
芝君は大学は出てませんが、仕事は大変正確で、頭の回転が早く対応能力が高いのです。
「こいつは相当伸びるだろう」と思ってました。

芝君は前の部署で信用していた先輩に裏切られたりしたそうです。
子供の頃にもっと勉強していればこんなに待遇が違うことはなかったのに嘆いてました。
「ぼくはそこそこ働ければ、それでよいんです」と芝君は言います。
「芝君はできると思うよー。頑張れば変わるからさー」と気長に話しかけてました。

俺の代わりに芝君をアメリカにも出張に行かしてやろうと思いました。
芝君は英語なんかできないから出張なんか絶対無理だと言います。
しかし私はあきらめません。

会社には格安の英語クラスがあります。
芝君をそれに応募させたら人事部が「子会社の人はダメ」と言います。
頭に来た私は「バカを言うな」と人事に怒鳴り込み、知り合いの課長とかけあったら
うちの部長の推薦をもらえばよいと言います。
「そんなの簡単だよ。課長さんありがとう」とさっさと帰って部長のハンコもらいました。

英語クラスだけでは不安なので、仕事中に私は芝君のために現地での想定英語問題集を作ってあげました。

「トラックの到着予定時間を教えてくれ」とか
「必要な梱包スペックを連絡しろ」など。
また「今夜はおもしろいところに連れて行って欲しい」
など仕事後の英語も入れて合計100枚くらい添削問題集をやらせました。
芝君は持ち前の記憶力でスイスイそれらを吸収し、見事しっかりアメリカのNASA出張をこなしてきました。

その後、芝君はアメリカ出張の成果が認められ、3年間のニューヨーク駐在まで獲得したのには驚きました。
いつも私が海外出張から電話して東京は大丈夫かと聞くと芝君は
「イザキさん。ぼくがいるんですよ。大丈夫に決まっているじゃないですか」
との言葉が頼もしかったです。
私は海外出張の後にカリブ海が楽しくて予定より5日後に帰国したくらいでしたから(笑)

芝君はNYから帰国後、定時制の大学も卒業し、今や転職して外資系の高給取りになってます。
「イザキさんには人生変えられました」と芝君は今も笑ってお店に遊びに来てくれます。
自分が少しでも役に立ったかと思うとうれしく思います。
彼は実はうちの弟の中学の同級生であることが後でわかって不思議な縁を感じました。


芝君はユーモアのセンスが抜群でお洒落さんなので女の子たちも人気でした。
一度芝君の後輩のタケちゃんを連れてお客さんのもとに行きました。

行きの電車の中で芝君はタケちゃんを指導してます。
「タケちゃんは業務に詳しくないから、せめて冗談を練習してお客さんのおじさんに気に入られよう」
「今日の輸入の話でおもしろいこと考えて」と言います。
しかしタケちゃんはあまり面白いタイプではありません。

じれったくなった芝君は「じゃーぼくが考えてあげるよ。おじさんたちは駄洒落が大好きだからね。
今日の話題は輸入関税だよね。「関税なんか”はらわんぜい”」なんてどう?」と言うと
前に座っていた女子高校生たちが大笑いしました。
「ほらタケちゃんが出来ないから彼女たちに笑われたじゃないか」といつも楽しく仕事は進むのです。



国内出張時はたいてい近くの温泉で一休みしてました。




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